Argentotetrahedrite

Ag6Cu4(Sb4S13)

アルジェントテトラヘドライトは、テトラヘドライト群に属する銀を豊富に含む立方晶系の硫化塩です。アルジェントテトラヘドライト-(Fe)という鉱種は、銀鉱石となり得ます。

概要

アルジェントテトラヘドライトは、硫化塩鉱物であるテトラヘドライト群に属する銀を豊富に含む鉱物であり、よく知られている銅鉱物であるテトラヘドライトの、銀が主成分となる対応鉱物です。 公認されている鉱種はアルジェントテトラヘドライト-(Fe)であり、この鉱物では、通常は銅が担う主役の役割を銀が果たしています。銀を豊富に含むテトラヘドライトは、産出量が多い地域では重要な銀鉱石となり得るため、この鉱物は経済地質学者と硫化塩鉱物の収集家の双方から強い関心を集めています。

組成と構造

アルジェントテトラヘドライト-(Fe)の理想化された化学式はAg6(Cu4Fe2)Sb4S13であり、銀、銅、鉄、亜鉛、アンチモン、ヒ素、硫黄がさまざまな比率で置換する複雑な鉱物群の一部を成しています。 他のテトラヘドライト群の鉱物と同様に、立方晶系(等軸晶系)で結晶し、四面体状の結晶のほか、塊状や粒状の集合体を形成することがあります。 このグループ内での正確な名称は、主成分となる金属によって決まります。鉄が主成分、あるいは銀が主成分の組成の場合は「アルジェントテトラヘドライト-(Fe)」と呼ばれ、亜鉛やヒ素が主成分の同族鉱物とは区別されます。

化学式Ag6(Cu4Fe2)Sb4S13(アルジェントテトラヘドライト-(Fe))
結晶系立方晶系(等軸晶系)
モース硬度約3.5~4
光沢金属光沢
スチールグレーから鉄黒色
産地2019年から2024年にかけて行われた命名法の改訂に伴い、テトラヘドライト群内に定義されました

生成・産出

他のテトラヘドライト群の鉱物と同様に、アルジェントテトラヘドライトは熱水鉱脈中に形成され、通常、銅、鉛、亜鉛、銀を含む鉱床において、他の硫化物や硫化塩類と共に産出します。 鉱化流体が銀を豊富に含む場所では銀が濃縮されるため、銀を主成分とする鉱物は、多金属鉱脈系や、大規模な鉱区内の銀含有帯に現れる傾向があります。 通常、黄銅鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、およびテトラヘドライト・テナナイト系列の他の鉱物と共生します。

同定および類似鉱物

手標本として見た場合、アルジェントテトラヘドライトはスチールグレーから黒色の金属光沢を持つ鉱物であり、通常のテトラヘドライトやテナナイトと非常によく似ており、銀が主成分であるかどうかは目視では確認できません。銅ではなく銀が主成分であることを確認し、正しいグループ名を割り当てるには、定量的な化学分析が必要となります。 2020年代初頭に完了した詳細な命名法の改訂により、テトラヘドライト群全体が再編成され、アルジェントテトラヘドライト-(Fe)およびその近縁種が、主要な構成成分に基づいて正式に定義されました。

主な産地と採集

銀を豊富に含むテトラヘドライトは、世界中の多くの伝統的な銀鉱区で産出しており、近代的な分析によって分類が精緻化される以前は、こうした鉱物は「フライベルギト」などの古い変種名で一括りにされていました。同定は化学組成に依存するため、分析結果に裏付けられたアルジェントテトラヘドライトとラベル付けされた標本が最も信頼できます。 収集家にとっては、形の良い四面体結晶が最も望ましいとされていますが、産業界にとっては、この鉱物は主に、銀が十分に濃縮された銀鉱石として重要な役割を果たしています。